エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

ヴァカンス便り - シュノンソー城

フランス・ロワール渓谷流域の古城の一つ、シュノンソー城。 フランス王アンリ2世の寵妾ディアヌ・ド・ポアティエ、 正妃カトリーヌ・ド・メディシスら、16世紀の創建以来、 代々女性が城主だったため、別名「6人の女の城」とも 呼ばれる優雅なお城です。 こ…

絵画の中の受胎告知 3

15世紀のルネサンス期になると色んな要素を盛り込み、 非常に調和の取れた優美な構図の「受胎告知」になってきます。 『ルカ福音書』には「天使が聖母マリアに会うためにやって来た」と 記述されているだけなのに、屋外の回廊や柱廊などが描かれて 室外で受…

絵画の中の受胎告知 2

前回「絵画の中の受胎告知 1 」で13世紀の作品まで飛んでしまいましたが、 その少し前、12世紀の受胎告知も珍しいので少しご紹介しておきます。 ヴェネツィアのサンマルコ教会にある受胎告知(モザイク画)です。 泉で水を汲むマリアに、大天使がお告げに現…

絵画の中の受胎告知 1

受胎告知の絵というと、どの絵を思い浮かべるでしょうか。 私はすぐにフィレンツェにあるサン・マルコ修道院に描かれた フラ・アンジェリコのものを思い浮かべます。 「受胎告知」とは、新約聖書に出てくる一節で、処女マリアが 妊娠したことを天使が知らせ…

カストラートとは

今回は少し毛色の変わった内容です。 (以前別のブログに書いたものですが、こちらに移します) もうかれこれ20年以上も前になりますが、 「カストラート」という映画があったので ご覧になった方も多いかと思いますし、この言葉を ご存じの方も少なからずい…

ミラノのティエポロ

17世紀にはヴィスコンティ家の邸宅だった建物をその後カルロ・ジョルジョ・クレリチ侯爵が買い取り、ミラノにそれまでにないような豪華な宮殿にしようと大修復が行われました。 それがミラノ大聖堂からすぐの、裏通りにひっそりと佇むクレリチ宮。 18世紀に…

ボッティチェッリ 書物の聖母 

ミラノのポルディ・ペッツォーリ美術館で初めて「書物の聖母」を見たとき、その美しく優雅な曲線とAureolaと呼ばれる黄金に輝く輪光の繊細さに目を奪われました。「線の詩人」と言われたサンドロ・ボッティチェッリの円熟期、ちょうど1480年頃の作品です。ま…

カラヴァッジョに影響を与えた画家

----- カラヴァッジョは一群の地方画家(ロンバルディア派)の試みを 様式的価値にまで高めた画家だった -----と言った美術史家ロベルト・ロンギ。 カラヴァッジョはミラノで生まれ、そして13歳頃にシモーネ・ペテルツァーノの 工房へ弟子入りしていますが、…

トレント公会議後の宗教画とカラッチ

カトリック教会は1545年から’63年まで断続的にトレント公会議を 開き、教会の建て直しをはかりました。そして教会における美術作品は 「聖書や由緒正しい聖人伝にもとづくものであるべき」と定め、また 「分かりやすく写実的で、これを見る信徒の心に強く訴…

パルマとコレッジョ

プロシュット(生ハム)で有名なパルマは人口約18万人の町。 この小さな北イタリアの町に16世紀に活躍した画家コレッジョがいます。 彼はサヴォナローラの登場した暗い時代のフィレンツェやティツィアーノの ような巨匠が活躍したヴェネツィアといった大きな…

ベルニーニと視覚芸術

イタリアが生んだ天才芸術家は何人かいますが、その中でも 彫刻家であり、建築家であり、また視覚芸術の統合の実践者でもあった ジャン・ロレンツォ・ベルニーニは17世紀最大の天才。 ローマで彼の作品に触れてファンになった方も多いのではないでしょうか。…

レオナルド・ダ・ヴィンチ 終焉の地

この夏はイタリアからモン・スニ峠を越え、約900kmの車の旅をしました。 行先はレオナルド・ダ・ヴィンチ終焉の地アンボワーズと彼が 人生の最後の3年間を過ごしたクロ・リュセ館です。 今年2016年はレオナルドが渡仏してからちょうど500年後にあたります。 …

イタリアの小都市探訪 スポレート

イタリアの小都市はどこもそれぞれに魅力がありますが、 ウンブリア州にあるスポレートもまた忘れがたい町の一つ。 特に細い坂道を上り、ふと開けた広場に佇むように建っている、 午後の光に照らされた大聖堂を見た時の感動は忘れられません。 スポレートは…

絵画の中のファッション

以前ブログでご紹介したブロンズィーノ描くエレオノーラ・ダ・トレドの 肖像画。その時にドレスに使われている美しい布地について少し触れましたが、 今回はその袖からポコポコとはみ出ている、白い布について書きたいと思います。 egotisme.hatenablog.com …

ラファエロ;巨匠からの影響

美術史では、1520年のラファエロの死を以て「ルネサンスの終わり」と し、その後の様式「マニエリスム」へと変化していきます。 そんな一つの重要な区切りを担う画家ラファエロは1483年にウルビーノで 生まれました。 彼の父親も画家であり、また母親は裕福…

ミラノの謎;四方山話 

ミラノの大聖堂ドゥオモと、そのドゥオモ広場に面して設計されたヴィットーリオ・エマヌエーレ2世アーケード、通称「ガッレリア」は 19世紀に興ったリソルジメント(イタリア統一運動)の混乱後に建築家ジュゼッペ・メンゴーニによって設計・建設された、ミ…

ジョルジョーネの色調主義

16世紀、ヴェネツィアを中心とする北イタリアでは、フィレンツェなど 中部イタリアとは違う美術様式が生まれていました。 トスカーナ美術は素描が特徴で、ヴェネツィア美術のそれは彩色と言われます。 北イタリアではやはりレオナルド・ダ・ヴィンチの「スフ…

ミラノの邸宅美術館;ポルディ・ペッツォーリ美術館

ミラノには邸宅美術館と呼ばれる美術館が4軒ほどありますが その中でも一番有名なのがこのポルディ・ペッツォーリ美術館。 中は当主であったジャン・ジャコモが欧州中から蒐集した美術品が 展示されていて、一見の価値あり。 1881年から一般公開されている…

カラヴァッジョの静物画 果物籠 

ミラノのアンブロジアーナ絵画館にあるカラヴァッジョの「果物籠」。 先月、かなり久しぶりに鑑賞する機会に恵まれました。 以前観た時と展示位置や照明が変わったので、今までもっと「黄色い」 イメージがあった作品ですが、薄いクリーム色というか白っぽい…

マザッチョの革新性

フィレンツェのサンタ・マリア・デル・カルミネ教会の中にある ブランカッチ礼拝堂。ここに描かれたマザッチョの壁画は 「絵画の学校」とも呼ばれ、後のレオナルドも、ラファエロも、 そしてミケランジェロも足しげく通っては模写したと伝えられています。 …

イタリア;2015年 秋の展覧会情報

2015年、芸術の秋にふさわしいイタリア各地で開催される展覧会の 情報をお伝えします。これからクリスマス休暇、年末年始にかけて イタリア旅行を計画されてる方に参考にしていただければと思います。 まず、ミラノで見逃せないのがこちら。 *フランチェス…

パリの邸宅美術館;ジャックマール=アンドレ美術館

邸宅美術館 ----という響きにここ数年、魅せられています。 華麗な邸宅が立ち並ぶパリ8区のオスマン通りにあるジャックマール=アンドレ 美術館はその邸宅美術館の中でもとびきり素敵なものの一つでしょう。 オスマン通り158番地に瀟洒な館ができたのは1875…

マエスタ・荘厳の聖母

ウフィッツィ美術館の第2室に「Maesta'」(イタリア語で荘厳という意味)と 呼ばれる絵画が3枚あります。マエスタとは玉座につき、聖人や天使に囲まれた 聖母子の絵画のことで、いつの時代にも多くの画家が描き続けてきたテーマ。 この第2室では、シエナ派…

イタリアの最も美しい村:スペッロを訪ねて

花の絨毯で有名なスペッロですが、その時期以外に訪れても旅人の目を 楽しませてくれる美しい景色がいっぱいの町。 スペッロはウンブリア州ペルージャ県にある、イタリアで最も美しい村と 名付けられたコムーネの一つ。ドライブの途中、スバシオ山の麓に突如…

ヴァカンス便り: オルチャ渓谷

いつの頃からか、糸杉のある景色を何かの写真で見て以来ずっと 心惹かれています。イタリアで糸杉を見つけると「あ、糸杉!」と 思わず心が踊ってしまうほど大好き。 ミラノ郊外の小さな街にも時々見かけますし、墓地には付き物の糸杉ですが、 北イタリアで…

スタンダール博物館;グルノーブル

2年ほど前ですが、南仏プロヴァンス地方からイタリアへ帰る前にどうしても グルノーブルに行きたくなって、車を走らせること約2時間半。 260kmほど北上し、とうとう念願叶って辿り着いた先は スタンダールの生誕地グルノーブル。 パリには山がないと日記の…

世界遺産;サヴォイア家のヴェナリア王宮

トリノ市内から西北10kmの所にある人口3万5千人ほどの町 ヴェナリア・レアーレにある、もとはカルロ・エマヌエーレ2世(17世紀)の 狩猟用の館として建てられたヴェナリア王宮へ目の保養をしに行ってきました。 実はこの狩猟の館、フランス軍の戦火にまみ…

史上2人目の女性教授アニェージ

今回は18世紀に活躍したミラノの女性をご紹介します。 1718年5月16日、ハプスブルグ家カール6世支配下のミラノで生を受けたマリア・ガエタナ・アニェージ。 父ピエトロ・アニェージは絹産業で財を築き、子供たちへの教育にも非常に熱心で、特にマリアは5歳…

イザベッラ・デステのモード

4月16日から7月19日までミラノ王宮博物館で開催されている 「レオナルド1452-1519」展にすでに2回も足を運んでしまいました・・・ 1回目でふと疑問に思ったことがあったので、2回目はちゃんとガイドをお願いして、 色々な説明を伺いながら目を皿にして鑑賞。…

両シチリア王国の戦う王妃

詩人ダヌンツィオに「厳格なバイエルンの小さな鷲」、作家プルーストには 「ガエータ城塞の戦う女王」と呼ばれた美しいマリア・ソフィア・ディ・バヴィエラ。 バイエルン王家に属するバイエルン公マクシミリアン・ヨーゼフとルドヴィカ・マリア王女の娘とし…