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エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

マンテーニャ「死せるキリスト」:新たな展示方法

ミラノ・ロンバルディア ルネサンス イタリア絵画 マンテーニャ

久々にミラノ・ブレラ絵画館へ行ってきました。
去年の12月にブレラ絵画館の目玉であり、15世紀の北イタリア・初期ルネサンスに

おける巨匠マンテーニャの「死せるキリスト」の展示方法が変わったのが、

少々話題になっていたからです(賛否両論でしょうけど・・・)

それまでこの作品は、入り口から次の展示室へ続く廊下に、明るい照明の下、

私たちとほぼ同じ目線の高さに額装されて展示されていました。
短縮法で描かれたキリストの体は刺激的かつ斬新ですが、一瞬ギョッとして

違和感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
(かくいう私も、初めて鑑賞した時は変色したキリストの体の色もなんとも

言えない不気味な感じがしたし、あまりに縮こまった体に違和感がありました)

今回新しい展示の指揮を取ったのがイタリア映画「ポー川のひかり」などで
お馴染みのエルマンノ・オルミ監督。
オペラなどの演出も手がけている欧州では有名な監督ですが、彼がマンテーニャの

「死せるキリスト」を探求して出した答えとは・・・

入り口からまっすぐ廊下の突き当たりまで行くと、照明の切れた暗い小さな空間が
ありました。

そこには豪華な額を外され、私たちの足元少し上ぐらいの位置にひっそりと

展示された「死せるキリスト」の姿があります。
黒い板のわずかな隙間からもれる柔らかい光のみが、絵を照らす唯一の照明。

 

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つまり、そこへ行くと自分もキリスト降架の、まさにその場面に出くわし、
それを上から眺めているかのような感覚に陥りました。
作品が私たちの目線より下にあることによって、キリストの短縮法で描かれた体が
本当に横たわっているように見え、照明を変えたことでキリストの体がもっと

立体的に写実的に見えるのです。

 

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ヴェローナ産の赤い大理石を参考に描かれたのでしょうか、

まるでそれがキリストの血のように見えてきます。終油の石から観客のほうへ

投げ出された足があるために、余計に観客の視点は画面のドラマティックな場面へ

向けられます。

 

マリアの、年老いて皺だらけの顔と体が途中で切られて描かれているのが

余計に悲しみにうちひしがれているように思えてきます。

 

美術館員の方が「子供たちも大勢鑑賞に来るが、この展示になってからあまりに

リアルな描写に、怖がったり泣き出したりする子がいるので小さなお子さんには

この絵をオススメできない」とおっしゃってました。

さもありなん・・・

 

ただ私にとっては以前の「死せるキリスト」の展示よりももっと深く、

静かに鑑賞できるようになったので、とても気に入りました。

 

ただ難点は、この絵の、この空間を確保するために、他の作品が展示室へ

所狭しと並べられてしまう結果になったこと。

限られた場所に多過ぎる名作。イタリアの贅沢なる悩みの一つですね。

 


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