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エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

ラファエロ:聖母の結婚

イタリア絵画 ルネサンス ラファエロ

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現在ミラノのブレラ絵画館にあるラファエロの「聖母の結婚」は

1504年、ペルージャ近郊チッタ・ディ・カステッロにある

サン・フランチェスコ聖堂サン・ジュゼッペ礼拝堂のための祭壇画として

制作されました。その時ラファエロは21歳でした。

(ちなみにこの礼拝堂には現在コピーが置かれています)

 

ラファエロはペルジーノを師に持ち、初期の作品には師の影響が多々見られますが、

この作品もペルジーノの絵をベースにしながら、少しずつラファエロ自身の画風を

持ち、師よりも更に優雅で自然な動きが見られます。

 

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ペルジーノの「聖母の結婚」(1501年頃)ですが、まだ15世紀ルネサンスの

堅く直線的な表現が目立っています。

ラファエロは師ペルジーノに倣いながらも、洗練さを付け加えた人物表現に

優れていると思います。ラファエロの描く聖母の、なだらかなS字ラインが

師の聖母と比べてもより一層美しく優雅で、そして自然に見えますね。

 

この絵の主題は『黄金伝説』から取られたマリアとヨセフの結婚について。

未婚の花婿候補が神殿に持って行った杖の中で、ヨセフの杖の先だけに花が咲き、

マリアとの婚約を取り交わしたことが述べられていますが、ラファエロは

その瞬間を描いているのです。

(ヨセフの杖の先に小さな花が咲いているのが見えます。おそらくバラ?)

あてが外れた男たちの、がっかりしたような残念な表情がうかがえ、

また腹立ちまぎれに杖を折ろうとする若者まで描かれています!

 

ペルジーノから受け継いだ遠近法で、より完璧な空間を絵画にもたらし、

この絵で更に調和された理想的な神々しい場所を表現したラファエロ。

奥に見える建物はエルサレム神殿で、この様式は当時の建築家や芸術家から

「理想の形」として認識されていました。

ローマのサン・ピエトロ・イン・モントリオ教会の中庭に、建築家ブラマンテが

1502年に建てたテンピエット(殉教者記念礼拝堂として建設)がありますが、

ラファエロの描く神殿とほぼ同じ様式です。

 

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この一見シンプルなテンピエットですが、盛期ルネサンス最高の建築と言われ、

また後のサン・ピエトロ大聖堂や、セント・ポール大聖堂(ロンドン)、

アメリカの国会議事堂にまで影響を与えることになるのです。

完璧な美しさ、ということなのでしょうね。

 

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ラファエロのエルサレム神殿には、ウルビーノのラファエロ MDIIII(1504年)と

署名が入っており、これを見ると師から自立していこうとする若きラファエロの

意思を感じます。

 

参考文献:『まなざしのレッスン 西洋伝統絵画』三浦 篤

 


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