エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

モーセの試練 :ボッティチェッリ

 

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システィーナ礼拝堂にある約3m50cm × 5m60cmという大きな壁画、

「モーセの試練」は教皇シクストゥス4世から注文を受け、

1481年頃ボッティチェッリによって描かれました。

ミケランジェロの「最後の審判」に圧倒されて、見逃してしまいそうですが、

これだけの人物を同一画面に描き、しかも統一された構成をなしているのは

ボッティチェッリの素晴らしい技術力と才能が発揮された作品である

証拠でしょう。

 

これはモーセの青年期の出来事である「同胞のためにエジプト人を殺す」

「ミディアンに逃亡する」「羊飼いを追い払う」「エテロの娘の羊に水を

飲ませる」「神の声を聞いて靴を脱ぐ」「燃える柴の神にひざまずく」

「イスラエルの民を率いてエジプトを脱出する」という、7つの場面が

描かれています。

 

絵の中で黄色い服と緑のマントを纏っているのがモーセ。

つまりこの画面の中に右から左へと物語は流れていて、モーセが7回描かれています。

こうした方法を「異時同図法」と言いますが、ボッティチェッリは

建物や樹木によって区切りをつけ、そこに関連人物を描き込むことによって

1つの絵の中で物語が語られているようにしたのです。

 

このシスティーナ礼拝堂の奥にある祭壇とミケランジェロの「最後の審判」に

向かって、左側にこの「モーセの試練」をはじめとするモーセの生涯連作が

6点、右側にはそれらに呼応するようにキリストの生涯連作が6点という具合に

描かれています。

これはイスラエルの民を救うモーセは、救い主イエス・キリストの予型と

して描かれているそうです。

システィーナ礼拝堂へ行った際には、是非ご覧になってみてください。

 

余談ですが、ボッティチェッリ描く美女にはシモネッタ・ヴェスプッチという

フィレンツェ一の美女がモデルになっていると言われていますが

(『ヴィーナス誕生』も『春』もこのシモネッタをモデルに描いているとか)

この「モーセの試練」にもシモネッタらしい女性が描かれています。

 

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なるほど、言われてみるとボッティチェッリが描いたシモネッタの肖像画に

似ているような・・・

 

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なにはともあれ、彼女の美を讃え、彼女に触発されて詩や絵画が作り出された

わけですから、シモネッタの美の功績は大きいですね。

 

参考文献:『まなざしのレッスン』三浦 篤 東京大学出版会

     『I protagonisti dell'arte italiana』Bruno Santi Scala Group 

 

 


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