読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

『パルムの僧院』の舞台を訪ねて

ミラノから南に約30kmのローディという人口4万人ほどの
古い町へ散歩がてら出かけました。
あの赤髭王フリードリヒ1世によって築かれた町として有名です。

 

f:id:egotisme:20150428214323j:plain

 

ローディといえば、スタンダールの『パルムの僧院』の書き出しが印象的。
何を隠そう、この小説を読んでローディへ行きたいと常々思っていたのです。

   ー 1796年5月15日、ボナパルト将軍はロジ橋を渡って
      シーザーとアレクサンダーが幾多の世紀を経て
      1人の後継者をえたことを世界に知らしたばかりの、
      あの若々しい軍隊をひきいてミラノに入った。ー
       (パルムの僧院/岩波文庫/生島僚一訳より)

この北イタリア一帯は1796年から1797年にかけての、いわゆる「イタリア戦役」

の場になった所で、とりわけ1796年5月10日ローディ橋でのフランス軍と

オーストリア軍との戦いは、ナポレオンの名前を一気に高めました。

 

f:id:egotisme:20150428214615j:plain

    (Louis Lejeune画1804年/la Battaglia di Lodi)

 

f:id:egotisme:20150428214858j:plain

      (Myrbach画1906年/The Battle of Lodi)

 

面白い事に、このローディの戦いはかなり有名であるにも関わらず、
ナポレオン自身は「別にそれほど大した事ではなかった」と
戦闘後、当時のローディ司教ジャンアントニオ・デッラ・ベレッタとの
会食で語ったと伝えられています。


余談ですが『パルムの僧院』に士官たちは出来るだけ裕福な家庭を宿舎に

割り当てられていた・・・と書かれてあるので、ナポレオンはこのローディ司教邸で

お世話になったのかもしれないですね。
そのためか、このローディ司教、ナポレオンのイタリア王国ができると
すぐに彼によって男爵に叙されていますし・・・

 

つまり後世の人が考えるナポレオン伝説の始まりも、案外あっけないもの

だったのかも・・・と現在は車が行き交うローディ橋を渡りながら思ったりして・・・

 

f:id:egotisme:20150428215057j:plain

 

f:id:egotisme:20150428215155j:plain

(現在ローディ橋は「ナポレオーネ・ボナパルテ橋」になっている)

 

f:id:egotisme:20150428215216j:plain

 

f:id:egotisme:20150428215232j:plain

 

f:id:egotisme:20150428215257j:plain

 

こんなにのどかで、ゆっくりした時間と川が流れる場所で
川の両岸にオーストリア軍1万人、フランス軍1万7千人が詰めかけていました。
おそらく当時のローディの全人口よりもかなり多い軍人たちがこの橋の回りで
ひしめき合っていたのだろう・・・と思うと想像を絶します。

この橋のすぐ近くにあるサン・ロッコ教会などは病院がわりになって
負傷者、死者でごった返していたのだとか。

 

f:id:egotisme:20150428215413j:plain


サン・ロッコ教会の正面ぐらいにナポレオンがここでオーストリア軍を
電光のごとく蹴散らかしたと書かれたプレートが飾られていました。

 

f:id:egotisme:20150428215450j:plain

 

『パルムの僧院』に書かれてあるように、貧乏なフランス軍とともに
ロンバルディアにどっと流れ込んできた幸福と歓喜・・・は
このローディでも見受けられたのでしょうか。
そのまま5日後にナポレオンはミラノへ、歓喜の渦とともに入城。
(もちろん、現在では北イタリアにとってナポレオンとは
憎むべきフランス人となっているのが皮肉・・・:笑)

また余談ですが、このローディ橋、20世紀初頭にはトラム用の橋だったみたいです。

 

f:id:egotisme:20150428215601j:plain

 

たった一つの小さな橋なのに、何故か色んな歴史があって惹かれます。


このローディにはもう一つ、魅了されるロンバルディアの至宝と呼ばれる
教会があるので、それもご紹介。

 

f:id:egotisme:20150428215730j:plain

 

外見は教会だか何だか分からなくて、通り過ぎてしまいそうですが、
一歩中へ入るとハッと息をのむ美しい空間が広がっているのです。

 

f:id:egotisme:20150428215804j:plain

 

f:id:egotisme:20150428215826j:plain

 

15世紀に建てられたインコロナータ教会です。
そしてフレスコ画で飾られた美しいクーポラは1840年エンリコ・スクーリの作。

 

そして聖母マリアを描いたルネサンス期の画家で、ブラマンテの影響を
強く受けたベルゴニョーネの「受胎告知」なんかもさりげなくあって驚きます。

 

f:id:egotisme:20150428215910j:plain

 

ちなみにローディはチーズの産地としても有名。お腹にも満足な町でおすすめです♪

 


人気ブログランキングへ