エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

スタンダール博物館;グルノーブル

2年ほど前ですが、南仏プロヴァンス地方からイタリアへ帰る前にどうしても

グルノーブルに行きたくなって、車を走らせること約2時間半。

260kmほど北上し、とうとう念願叶って辿り着いた先は

スタンダールの生誕地グルノーブル。

 

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パリには山がないと日記の中で嘆いていたスタンダールですが、
生まれ故郷の山を懐かしんだのも無理はないと、グルノーブルに

到着した瞬間に思いました。
グルノーブルでは至る所から様々な形状の山を楽しむことができるのです。

 

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彼が自伝的作品『アンリ・ブリュラールの生涯』で何度も書いていた
美しいグルネット広場に足を踏み入れると、19世紀の版画で見た
「グルネット広場」と同じように、噴水の奥にスタンダールの祖父
ガニョン氏が1789年まで住んでいたアパルトマンが同じ姿で建っていました。

ここは現在「スタンダール博物館」として開館しているのです。

 

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入り口の呼び鈴を押して博物館へ・・・この古い木の扉、
きっと19世紀から変わっていないと思うと、だんだんドキドキしてきます。
ここを少年スタンダールも出たり入ったりしてたんだなぁと感動もひとしお。

 

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入り口の扉をくぐると小さな暗いパティオがあって、ほとんど修復されていない
感じの、古ぼけたアパルトマンになっていました。
その「アンティークさ」が、増々私を19世紀に近づけてくれる気がします(笑)

 

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博物館といっても、個人宅へお邪魔する感じです・・・
最上階まで上り、再び呼び鈴を押すと若い女性が迎えてくれました。

 

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私と連れ以外に来客はなし、というより、ここに誰か来るんだろうか?と
言うぐらいのひっそりとした静けさ。

サロンと寝室(だった部屋)と書斎とテラスという、たった3室とテラスだけの

小さな博物館でした。
そこにスタンダール縁の人々の肖像画をはじめ、彼の手紙やちょっとしたメモ、

作品の初版本、そしてイタリア滞在中に集めたらしい絵画や版画などの一部が

展示されていました。

 

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悪筆で有名なスタンダールの直筆を「生」で見るのは初めてだったので興奮!
彼は仏語・伊語・英語混合使用や当時の警察を意識し、故意での悪筆であったりと

判読が難しいのだそうです。


なるほど、何枚かメモが展示されていましたが、一体何を書いてるのやら??
仏語っぽいのも見えるような、でもよく見ると英語だったり、ひと言だけ
伊語だったり・・・それが母国語ではない私には到底理解できません。
これを判読して、まとめて、全集を出版した、最初の人たちの努力には
感謝したい気持ちでいっぱいになりました。

彼の有名な遺言書「Visse生きた、Scrisse書いた、Amo愛した」の
メモらしきものも博物館に展示されていましたが、それを自分の目で
判読できた時の喜びは到底言葉では表現できません。

そして祖父ガニョン氏の書斎には美しい装幀の本がガラスの書棚に
並べられ、百科事典や植物事典などがあり、その横には装飾をほどこした

書き物机・・・この机で少年スタンダールも勉強したのでしょうか。

 

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その書斎からスタンダールが愛したテラスへ出られるようになっています。
このテラスが、本当に心地よくて、素晴らしく、気候の良い時期なら
何時間でも時間を過ごせる感じがしました。
今では回りに建物が並んでしまって、遠くまで見えないのですが、
スタンダールが住んでいた頃は、ここからサン・タンドレ教会や
その奥にそびえる山々が見えていたのだとか。

 

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 ー 私たち(祖父とスタンダール)はテラスで夏の夕べを
   七時から九時半まで一緒に過ごした。
   九時にはサン・タンドレで閉門の鐘がなり、
   この美しい音色は私に激しい感動を与えた ー

と『アンリ・ブリュラールの生涯』に書かれてあります。
幼少の頃のこうした祖父とのテラスでの時間はスタンダールにとって
楽しい思い出だったのでしょうね。
このテラスで祖父は(彼の父親が絶対にしないような)星座の話なども
語ってくれたのだとも書かれてあります。

 

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入り口でカタログを購入し、その横にゲストブックがあったので好奇心から

パラパラめくると仏語以外に英語、独語、そして中国語までありました。
中国からもスタンダール・ファンが駆けつけてきたのでしょうか。
負けじと日本語で私もひと言残してきました。




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