エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

パリの邸宅美術館;ジャックマール=アンドレ美術館

邸宅美術館 ----という響きにここ数年、魅せられています。

華麗な邸宅が立ち並ぶパリ8区のオスマン通りにあるジャックマール=アンドレ

美術館はその邸宅美術館の中でもとびきり素敵なものの一つでしょう。

 

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オスマン通り158番地に瀟洒な館ができたのは1875年のことでした。

銀行家のエドゥアール・アンドレと画家だった妻ネリー・ジャックマールは

数十年間に渡り、世界から約5,000点に及ぶ芸術作品を収集し、

世界有数の個人コレクションともいわれています。

 

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入ってすぐに目に飛び込んできたのは、なんと「温室」風の空間。

ナポレオン三世時代には温室が流行していたのだとか。こうした観葉植物を

インテリアにするのは、この時代から始まったのでしょうね。

 

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1階部分には他に大きなサロンや音楽の間などがあり、そこで夫妻は

客人をもてなしました。バロックやロココに見られるような金を取り入れた

豪奢な内装と大きな窓から差し込む光との調和にうっとりします。

 

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他にも夫婦の寝室やプライベート空間も公開され、至るところに

彼らの美意識が集結したような空間が広がり、ただただ美しい。

1階はフランス絵画が中心になっているようで、ふと目に留まったのは

18世紀の画家ジャン=マルク・ナティエの「アンタン侯爵夫人」。

彼の作風は甘美で繊細な色使いが特徴ですが、こうした美しい邸宅の壁に

飾られると一層映えますね。

 

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特筆すべきは、彼らはイタリア・ルネサンス美術への関心が高く、特に妻の

ネリーは、あらゆる画家の中でボッティチェリを最も高く評価していました。

イタリア旅行も頻繁で、そのたびに新しい作品を入手して展示し、ごく親しい

友人だけを招いていたようです。

 

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階段を上がって2階に到着するや、すぐに出迎えてくれるティエポロ。

1745年頃の作品で、アンリ三世のヴェネツィア訪問の様子が描かれています。

この絵はもともとヴェネツィアのコンタリーニ宮殿にあったものを

夫妻が気に入って購入したようです。

このように2階部分はイタリア絵画の間のようになっています。

 

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いきなりジョヴァンニ・ベッリーニ!が登場しました。

が、夫妻はこの絵がベッリーニだとは知らないで購入したようです。

しかし彼らの「目」は確かだった・・・ということでしょうね。

1510年頃の作品です。

 

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とうとうボッティチェリも登場(真ん中の絵)しました。

おそらくボッティチェリが25歳頃の作品(1470年頃)のようです。

妻ネリーは、この作品は「ヴェロッキオの工房」で作られたものだと

確信して購入しました。そして恐らく師ヴェロッキオか、若き弟子

ボッティチェリなのではないかと思っていた・・・

この穏やかな聖母の表情と繊細な線はボッティチェリの特徴。

しかしハッキリと断定されたのはなんと1995年の修復後なんだとか。

それにしても夫妻の審美眼、素晴らしいですね。

 

素敵な邸宅美術館を堪能した後は、当時ダイニングとして使用されていた

部屋がティールームになっているので、そちらで優雅にお茶を頂くのもオツ。

美味しいタルトを頬張りながら考えたことは、旅先で好きなだけ美術蒐集して、

自宅に飾って、夫婦で、または友人たちと愛でつつ、話に花を咲かせ・・・

あぁ、一度でいいからそんな暮らしをしてみたい!

夢のまた夢ですが、そんな夢を見ることをひと時許してくれるのが

邸宅美術館の魅力かもしれません。

 

 

 


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