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エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

ベルニーニと視覚芸術

イタリアが生んだ天才芸術家は何人かいますが、その中でも

彫刻家であり、建築家であり、また視覚芸術の統合の実践者でもあった

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニは17世紀最大の天才。

ローマで彼の作品に触れてファンになった方も多いのではないでしょうか。

 

今回は偉大なるベルニーニの初期の作品をご紹介したいと思います。

 

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    (ベルニーニの自画像)

 

ベルニーニは1598年、フィレンツェ出身の彫刻家ピエトロ・ベルニーニと

ナポリ人のアンジェリカ・ガランテの間にナポリで生まれました。

そして父ピエトロが法王パウロ5世のもとで働くためにローマへ移住します。

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ7歳の時でした。

 

ベルニーニはすぐにカッとなる傾向があったようですが、彼の自画像からも

「激情的」な印象を受けますよね。その反面とても真摯で社交的だったとか。

また頭の回転がはやく、少々「芝居がかった」ところもある人だったようです。

 

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      (サントーニの肖像)

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      (コッポラの肖像)

 

父ピエトロの工房を手伝ううちに、息子ジャン・ロレンツォの早熟な才能が

少しずつ法王やその甥ボルゲーゼ枢機卿に認められていきます。

サンタ・プラセーデ教会の「サントーニの肖像」や

サン・ジョヴァンニ・ディ・フィオレンティーニ教会の

「コッポラの肖像」などは、父ピエトロの工房に依頼がきて、まだ

10代前半だった息子ジャン・ロレンツォが制作したと言われていますが、

顔の表情のみならず、その個性までが表現されてるかのようです。

 

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上の写真はベルニーニが20歳頃に制作した「のろわれた魂」という

スゴイ題名が付いている作品なのですが、彫刻にこれほどの表情を

持ち込んだベルニーニの想像力に圧倒されます。

こうした表情はカラヴァッジョの「メドゥーサの首」などの

影響を受けているかもしれません。↓

 

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       (カラヴァッジョのメドゥーサ)

 

また「ミケランジェロの再来」といわれたベルニーニは同じく

ダヴィデ像をつくっています。

 

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ダヴィデが力いっぱいに石を投げる、まさにその瞬間を彫刻にしたもの。
私の美術史の先生はMolto Teatrale(非常に演劇的)という言葉を連発しました。
ダヴィデの表情も、いま、まさに投げんとするのが伝わってくる感じ。

いかにも激しい、動的な印象です。このダヴィデの表情はベルニーニ自身が

モデルだとも言われています。

 

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有名なミケランジェロのダヴィデ像ですが、ベルニーニのと比べ
16世紀と17世紀の違いがハッキリと分かります。

ミケランジェロのダヴィデは石を握ったまま「思考」して止まっている、

非常に静的な印象です。ダヴィデの存在そのものが非常に大切にされて

いる感じをものすごく受けます。そしてベルニーニのダヴィデは

それを見る者が、まるでそこで古代演劇が繰り広げられているかのような

視覚効果を与えているのだと思います。

 

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       (アポロとダフネ)

 

ベルニーニは古代研究に非常に熱心で、どんどん作品を制作していきました。

この「アポロとダフネ」は何がスゴイかと言えば、大理石の質感。

固い大理石のはずなのに軽やかな印象を与えています。

ダフネの肌は光が当たって輝くようですが、樹皮はザラザラとした質感が

印象的です。

 

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彫刻なのに絵画のような趣なのは、ベルニーニが彫刻において初めて「風」に

よる効果を与えたからでしょうか。またベルニーニの彫刻は360度どこから見ても

美しい・・・これは本当に素晴らしい技術ですね。

また非常に官能的な雰囲気を帯びているのもベルニーニの、そしてバロック時代の

特徴かもしれません。

 


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