エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

パルマとコレッジョ

プロシュット(生ハム)で有名なパルマは人口約18万人の町。

この小さな北イタリアの町に16世紀に活躍した画家コレッジョがいます。

彼はサヴォナローラの登場した暗い時代のフィレンツェやティツィアーノの

ような巨匠が活躍したヴェネツィアといった大きな芸術のうねりがある場所を

恐らくよく知らなかったと言われてますが、それが幸いしたのか、彼の作品は

いつも明るく優美で官能的です。

 

この町とコレッジョについてのエピソードでとても印象的なのがスタンダール

『イタリア紀行』に書かれてあります。

1816年12月1日スタンダールがコレッジョのフレスコ画を見るためだけに

ミラノから移動して1時間ほどだけパルマに立ち寄りました。

「イエスに祝福される聖母は、涙がこぼれるほど私を感動させる」

 

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このフレスコ画は元々サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ教会の

後陣に1522年に描かれましたが16世紀末にはすでに痛みが激しくて

剥がして保管、その跡には複製が飾られました。このオリジナルは

現在パルマ国立美術館に展示されています。

 

パルマを訪れたら外せないのが12世紀末には現在の姿になった

ロマネスク様式のパルマ大聖堂。

 

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イタリアの聖堂の特徴として、聖堂と鐘楼が別に建てられるということが

あると思います。この高いゴシック風な鐘楼は大聖堂完成1世紀後の

13世紀末に完成しました。

 

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大聖堂の入口プローティロは1281年頃のもの。

このプローティロは北イタリアのロマネスク建築に見られるもので、

特徴はライオンなどの彫像があって、その上に円柱、そして円柱に

かかるアーチ型の屋根という構造になっています。

ライオンのほか雄牛や像なんかもあるようですが、パルマはライオンでしょうか。

前にブログでご紹介したベルガモ大聖堂のプローティロもライオンでした。

 

egotisme.hatenablog.com

中に入ると一面ルネサンス期のフレスコ画で溢れていて目を奪われます。

 

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そしてクーポラの方まで進んで行き、ふと上を見上げると・・・

 

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「聖母被昇天」が圧倒的に美しい!天井がいきなり開いて、光がワッと

差し込んでくる感じがします。全てが中心に向かって勢いよく上って行って、

まるで見ている自分も渦に巻かれて上っていってしまいそうな錯覚も。

これがコレッジョをして「光の効果の達人」と言わしめる技術です。

 

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マンテーニャゆずりの短縮法を用いた人物表現、そしてそれまで描かれた事が

なかった「聖母が押しつぶされたように表現」されているのも印象的です。

1526年から1530年にかけて描かれました。

 

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もう一つ、パルマに行って見逃せないのが国立美術館の中にある

「聖母子と聖ヒエロニムス, マグダラのマリア」です。

元々はパルマのサン・アントニオ聖堂のために描かれたものですが、

今は美術館内で保管されています。

 

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コレッジョは人物の表現に甘さがあるというか、優美というか、

どの人も素晴らしく美しいというのが特徴だと思います。また全体的に

画風も明るいですね。ただ面白いことに彼自身の性格は非常に質朴だったと

伝えられているようですが・・・

 

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この天使の美しい横顔には、ただただうっとりと眺めるのみ。

私の美術史の先生はコレッジョの講義中にただ一言「Bello(美しい)」と。

スタンダールは「コレッジョは画風の優美さに表現の優美さを結び付けた

人である」とも書いていて、これも言い得て妙なり、です。

 


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