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エゴチスムな日々

イタリアの閑暇そしてその悦楽

絵画の中の受胎告知 1

受胎告知の絵というと、どの絵を思い浮かべるでしょうか。

私はすぐにフィレンツェにあるサン・マルコ修道院に描かれた

フラ・アンジェリコのものを思い浮かべます。

 

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「受胎告知」とは、新約聖書に出てくる一節で、処女マリアが

妊娠したことを天使が知らせにくることです。

このテーマは何世紀にも渡って、数多くの芸術家に愛されてきた、

最も一般的なキリスト教美術かもしれません。

 

この受胎告知の絵は一体いつから描かれるようになったのでしょうか。

おそらく現存する一番古いもので、ローマのプリシッラのカタコンベに

描かれたフレスコ画ではないかと言われています。

 

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カタコンベとは地下にある墓所のことで、2世紀末から4世紀後半に

かけて各地で盛んに作られました。

このプリシッラのカタコンベでは、初期のキリスト教の時代に

迫害された殉教者たちのお墓が保存されています。

そして死後の魂の救済を願った絵が壁や天井に残されています。

 

このマリアはローマ時代の衣装でしょうか、その後の時代に

描かれるようなヴェールなども被っていないようですね。

そして椅子に腰かけ、言葉に耳を傾けているように

描かれています。天使の翼が見られないようですが、初期の

キリスト教美術では翼が異教(ギリシャ・ローマの神々)との

認識があったのだとか。それで描かれていないのでしょうか。

またマリアは左側に描かれています。後の時代には

マリアは右側、天使は左側に描かれていくので、そういう意味でも

興味深い受胎告知です。

 

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上の絵はローマのサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂にある

モザイク画です。普通、受胎告知の絵というとマリアと天使1人の

構図を思い浮かべますが、ここでは真ん中にマリア、そして

取り囲むようにローマ時代のトーガを着た天使たちがいます。

翼がついています。この辺りで異教的という感覚はなくなった

のでしょうか・・・飛んでいる天使もいます。

皆がそれぞれに何かマリアに言ったり

しているようにも見えますが、色々言われて混乱しそうですよね?

 

そして特筆すべきは鳩の存在。5世紀頃になると、こうして

受胎告知の際に天使と鳩が描かれていくようになります。

白い鳩はキリスト教美術において聖霊の象徴でした。

マリアは処女であったにもかかわらず、聖霊が下ってイエスを

身ごもるので、こうして聖霊の象徴である鳩が

マリアをめがけて降下するというのが

受胎告知の図像になったのだそうです。

 

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そして13世紀頃になると、受胎告知の図像もだいぶん私達の

イメージするものに近づいてきます。

マリアが右に、天使が左にという構図も定着したようです。

上の絵はローマのサンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会に

あるピエトロ・カヴァッリーニの受胎告知です。

マリアの座る椅子も玉座になり、天使の翼も見事です。

またマリアの衣装がローマ風からビザンチン風になり、

ヴェールを被るようになりました。

天使もマリアもどちらも動きが出てきているのも印象的。

そして鳩が今度は光線に乗って降下してきています。

なんとその光源には「イエス」の顔が現れました!

 

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それまでには見られなかったような小道具も描かれるように

なっているのも、大きな変化ではないでしょうか。

花瓶に百合の花が描かれています。これはマリアの無垢の象徴と

され、こうしてマリアの近くに描かれるようになりました。

(反対側にあるお皿に盛られた緑の植物?は何なのでしょう。

オリーブかな?と一瞬思ったのですが、よく分かりません。

もしご存じの方がいらしたら、ご教示ください)

 

受胎告知の絵も、こうして見ると時代ごとに色々な様式、

構図があり、興味深いですね。

 

次回は初期ルネサンス以降の受胎告知について

調べてみたいと思います。

 


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